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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い
「剛さん……何時に戻るのかなあ……」
彼と愛し合ったベッドを見やり、身体の奥が軽く疼くのを感じたが、頬を赤らめる。
「……沢山したのに……私ったらこれじゃあ淫乱みたいじゃない……」
美名は、暇なときに読もうと思って持ってきたベストセラーの小説の文庫本をバッグから出して読もうとするが、内容がさっぱり頭に入ってこない。
日比野への疑念や苛立ち、そして桃子の心配、剛の不在の寂しさが交互に自分を苛む。
こんな風に物思いに沈むのは随分と久しぶりだった。
綾波と出会い、彼に恋して、プリキーとしてデビューして……
目まぐるしくキラキラと輝いていた日々はついこの間の事なのに、こうしていると遠い昔の出来事に思えてくる。
夢に見ていた大好きな人との結婚。
それが目の前まで迫り叶おうとしているのに。
何故自分は今こんなにも戸惑って寂しいのだろう。
ほんの些細な事で……剛が少しの間不在なだけで、こんなに不確かに心が揺れてしまうなんて。