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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い
「おまっ……それはキャベツ……じゃない!サベツだぞ――!性別や体格や人種関係無くコミックを楽しむ権利と自由はあるんだからな――っ」
「ふ――んだ!真理らしくない難しい言葉使っちゃって――!知恵熱で今夜寝込むんじゃない?ざま――見ろっ」
「なっ何を言うか――このオタッキー女――っ」
ヒートアップする二人の間に由清が割って入り、桃子の視界は彼の背で埋まってしまう。
フワフワの栗色の襟足の髪に見とれていると、由清は振り向いて優しく笑いかけてきた。
「マジで静かにしようって……ね?桃子ちゃん」
「……っ」
桃子の胸が高鳴ってしまう。
由清と会うのはプリキーが無料ライヴを日比谷野音で開催した日以来だった。
あの日、由清に言われた事――そして自分が由清に言った言葉を桃子は何一つ忘れていない。
自分は三広という恋人が居て、由清の事はきっぱりと撥ね付けるしか無かった。
由清はあれからどうしていたのだろうか。プリキーのメンバーとして忙しく活動していたのは知っているが、プライベートではどうなのだろう。
――好きな女の子が出来た?それとも彼女が出来て幸せなの?
桃子はそう聞きたい気持ちを抑えこんで掌をギュッと握る。