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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い
「ふーん……でも、何でよりによってここに?」
「何でって!だから!今日は『恋キミ』発売日だからだろーが!やっぱり発売日にゲットするのはフリークとして当たり前だろ――?
それに暇だったしよ~……暫くオフだしさ~……美名の所へ遊びに行ったら留守だし……
しかもマンションの大家さんから聞いたんだけど、綾波と出掛けて当分帰らないらしいじゃねーかっ
……あああ……綾波のやつ――!そんな事俺は何も聞いてないし!アイツは美名をこれからいくらでも独り占め出来るじゃんかよっ!
でも俺は……俺は――っ!……わかってる……わかってるさ……俺はとっくにフラれてんだ……美名はアイツの嫁さんになるんだ……
けどよ……けどよ――!俺の一番の癒しはやっぱり美名の可愛い笑顔なんだよ――!……ああ……美名に会えない……美名を見れない……ロスだ……美名ロスだ――っ!ギャアア」
頭を抱え叫ぶ真理を宥めようと由清が背中を擦り、呆れた桃子が涙を流す真理の目尻をハンカチで拭ってやろうとするが、いつの間にか沢山の人に囲まれている。
「おおおう……神よ……いや……この世に神は居ねええ――っ!」
まだオイオイ泣く真理の腕を引っ張り桃子は呟いた。
「ちょっと……!ヤバイって」
「取り敢えず然り気無く撤収しよう」
由清はそう言うと、素知らぬ振りで真理を引っ張ってその場を立ち去ろうとしたが、その場にまだ立ち尽くす桃子を見てもう片方の手を差し出して来た。