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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い
「まだ諦めないのか……そこまでして追い掛けて何をしたいんだろう……」
「あ、あいつらっ……なんで由清は君とか様呼びなのに俺は呼び捨てなんだ――っ」
真理は喚きながらドタドタ走る。
由清は呼吸ひとつ乱さず桃子と手を繋いだまま軽やかに走り抜けるが、桃子は既に限界に近かった。
由清のペースに付いていけず、足が縺れて転んでしまう。
「――桃子ちゃ……」
由清は直ぐに足を止め、身を屈めて桃子を起こし軽々と抱えると咄嗟に目の前にあるビルのドアを開けて入る。
「真理!あとは任せた!」
「へっ――?」
出遅れた真理はビルの前で女性ファン達に捕まって揉みくちゃにされていた。
由清は桃子を抱いたままドアの隙間からその狂乱の様子を見て、息を付いて呟いた。
「真理なら頑丈だしあれくらいグチャグチャに巻き込まれても大丈夫だろ」