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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い
「もうっ……私……どうしていいか――!」
「桃子ちゃ……落ち着いて」
由清は、咄嗟に入ったこの建物が何なのか桃子の拳を受け止めながら見回す。
上の階はマンションになっているようだが、地下へ続く階段の先にはどうやらバーがあるようだった。
桃子の甲高い声が響き渡って誰かに不審に思われたら不味いかも知れない、と思った矢先、目の前のエレベーターが止まり扉が開いて若い女性が降り、由清達を見て眉をひそめる。
「桃子ちゃ……静かに――」
「一体私にどうしろっていうのよ――っ!もおおっ」
声を落として囁く由清だが、ヒステリー状態の桃子には全く耳に届いていない。
由清は桃子を降ろして壁に押し付け顎を掴むと、桃子の叫びを封じ込めるかのように唇を重ねた。
桃子は瞬間身体を震わせたが、やがてぐったりと由清にもたれ掛かり、静かになる。
由清は桃子と唇を重ねながら、見知らぬ女性が出ていったのを確認した。