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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い
名残惜しさを感じつつ、柔らかい桃子の唇から離れた由清は呆然と宙を見詰める桃子の髪を撫でた。
「謝らないよ……隙を見せる桃子ちゃんが悪いんだ」
「――っわ……わわわ私……隙……あったの?」
真っ赤になったり青くなったり忙しい桃子が真面目に訊ねる。
由清は吹き出し、大笑いする。
「あ……アンソニーってば……!ひどっ……私……本当にびっくりして……ドキドキしたのに――」
「――」
由清は笑うのを止め、桃子の身体を挟むように両手を壁に付けて彼女を上から見おろした。
色素の薄い、まさに桃子が「王子だ」と思う様な優しげな瞳の奥には危険な色が沈んでいる。
無意識にそれを感じ取った桃子は彼から目を逸らし、小さく呟いた。
「わ……わ私帰らなきゃ」