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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第6章 リトルプリンセスとプリンスの憂い
由清は首を傾げ、桃子の髪をひと束掴み弄び、鼻先へ持っていき薫りを堪能するような仕草をした。
桃子は、その一連の動作から目が離せず――つまり見惚れてしまった。同じことを他の男にされたら「ぐぎゃああ――!何をセクハラしとんじゃワレエエエ!」と絶叫しながら廻し蹴りの一つや二つはかましている。が、相手は由清だ。デビューする前のホストの経験が成せる技なのか、はたまた彼は元々そういう資質があるからホストが務まっていたのか分からないが、彼になら触られても不快に感じない――という現象が今まさに此処で起こっているのだ。
だって桃子は由清を嫌いではない。寧ろ好きな方だ。少女漫画から飛び出してきたかのような優美なルックスに長い手足、背だって三広よりも高い。
いや、小柄な三広よりも背の高い男は世の中に沢山居るわけだが。
性格も穏やかで、桃子の言うことを黙って優しく聞いてくれる。
三広と実際に出会ったりしなければ――由清に先に会っていたら、一番に好きになったかも知れない。