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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第7章 揺れる夜
由清がグラスにビールを注ごうと瓶を持つのを見て、桃子はハッとして彼から瓶を奪い取るようにした。
「あっ……アンソニー、私が」
「ありがと」
由清は柔らかく笑い、グラスを桃子の方へ傾ける。桃子は真剣な目でビールを注ぎ、八分目で止めると大きく息をつく。
何が可笑しいのか由清は小さく吹き出した。
「な……なにか面白い事でもあった?」
「いや……」
由清はカクテルを珍しげにじいっと見詰める桃子を盗み見ながらグラスを口に含んだ。
(いかにもこういう場所、酒の席に慣れてないって感じだよな……まあ……当然か、まだ未成年なんだし)
桃子に飲ませているのは酒ではないのだが、こっそりとアルコールを飲ませて酔わせてしまってから自分のマンションの部屋へ引きずり込んでやろうか――という邪な考えも過る。
隣でちびちびとカクテルを飲み「美味しい~」と無邪気に喜んでいる桃子は由清がそんな事を思っているとは全く知らない。