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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第7章 揺れる夜

由清は桃子の反応に満足したように笑い、自分のグラスを桃子のグラスに軽くぶつけた。
「忘れてた……乾杯」
「……な……何に?」
「う~ん、なんにしよ」
「ええ~?」
「そうだ……真理が、美名ちゃんが何処へいった――何処へ拐われたんだ――ってうるさいんだけどさ、桃子は知ってるよね?」
また当たり前のようにそう呼ばれ、桃子はカクテルを吹き出しそうになった。
ドギマギする胸を持て余しながら、わざと素っ気なく答える。
「知らない」
「本当~?」
「し、知らないもん……本当だもん」
「嘘ばっかり」
由清は頬杖をつき、謎めいた眼差しで桃子を見詰め、とことん惑わせてやろう、と企んでいるかのようにまたこう呼ぶ。
「桃子は、隠し事出来る器用な子じゃないよね」
「……っ」
桃子は動揺し、グラスをひっくり返してしまった。

