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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第4章 マリッジブルー・プリンセス
ドキドキするあまり、おかしな行動を取ってしまった自分に嫌気がさしてしまう。が、嘆いている場合ではない。
三広の鼻からつつ、と鼻血が垂れているではないか。
「ああっ……大変!」
桃子が屈んで彼の身体を起こそうとした時、背後から低い耳障りの良い声がした。
「――お客様、大丈夫ですか」
涙目の桃子が振り返る。
日比野は、優雅な笑みを溢し胸ポケットからハンカチを差し出した。
「あ、ありがとうございます……か、彼を……彼を助けて下……」
彼は、しゃくり上げる桃子に"大丈夫"と微笑む。三広の脈を測り胸の音を聞くと、軽々と抱き上げた。
「気を失っているだけですね……お部屋までお運びします」
「は、はいっ」
周りの人々が注目する中、三広を抱えた日比野は歩き出した。
桃子も後へ続くと、日比野の前に綾波が立ちはだかった。
「……綾波様?」
日比野は目を僅かにしばたかせた。
綾波は、シャツを着てはいた。が、髪は乱れ、ボタンが殆ど嵌められていない。
高級ホテルのラウンジには相応しいとは言えないいでたちだ。けれど、彼の瞳は煌々と輝き、その佇まいからは何とも言えない色気が漂う。
その場に居合わせた女性客たちが、顔を赤らめていた。