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あたしに全部見せなさいっ!~大学編~
第7章 種明かし

「あれは入学式の翌日だったかしら。桜の花びらが風に舞う校庭で森永くんを見つけたの、運命か何かだと思ったわっ。だってこんなに可愛らしい、ナチュラルに女装させられそうな素材滅多にいないものっ」

 今度は少女漫画のヒロインのごとく、夢見る眼差しでそんなことを言う。
 ……荒巻先輩も、キャラが掴みづらい人だなあ。テンションが。
 あたしは記憶を辿った。あの日だ。連絡先を交換していた場面を、たまたま詩織と目撃していた。
 ……そんなに風、吹いてたかなあ。荒巻先輩の中で、映画のワンシーンのように、演出が追加されているような気がする。

「……柚留にメイクとかするんですか?」

 あたしの質問に、荒巻先輩の視線が柚留へと向いた。
 柚留がびくりと体をすくませる。

「メイクは……いらないかなあ。森永くんの場合、肌も綺麗だし顔立ち自体が美少女だし。なるべくいじらず、服装だけ女の子っぽくしましょう。……あと髪も」

 荒巻先輩の手が、柚留の髪に触れる。
 思わず身を乗り出してしまいそうになった。
 だけどその前に、柚留の手が先輩の手を弾いた。
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