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あたしに全部見せなさいっ!~大学編~
第7章 種明かし

 故意にではないらしく、柚留ははっとした顔をする。

「あ……すみません」
「いーえ」

 気を悪くした様子もなく、にっこりと微笑む荒巻先輩。
 突然両手を何度かパンパンと叩いた。

「もう夕方だし、ポスターの写真はあとで撮りましょうか。今日は梢もいないし」

 演劇部のポスター製作なのだから彼女も当然立ち会った方がいいのだけれど、急用が入って来れなかったのだという。
 ポスターのコンセプトは決まっているため、今日撮影をするかやめるか、さっきの教室で相談していたのだとか。

「女装姿を誰かに見られるのは嫌かな、と思って空き教室を選んだのだけど。まさか森永くんの彼女さんと遭遇するなんて。こんなミラクルあるのねっ」

 興奮気味に荒巻先輩は語る。
 あたしと詩織は顔を見合せ、尾行してたことは秘密ね、と合図を送り合った。……バレてないようで、良かった良かった。

「あ、そうだ森永くん。その……、ちょっと表情が固いのよねー、女装した時の。これ貸しとくから、何回か着て女装になれておいてね!」

 そう言って、拒否できそうもない暗黒微笑を浮かべながら、荒巻先輩は柚留に紙袋の衣装を渡した。
 そのまま今日は解散となった。
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