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第7章 種明かし

「初めてじゃないでしょ？」

　去年のコミケであたしが描いたBLのオリジナル同人雑誌を売る際、売り子をしてくれた柚留と、詩織の彼氏の西木くん。
　そうだ、あの時も女装していたのだ。

「だってあの時は一日だけだったし、そんなに女の子っぽい服じゃなかったでしょ？　……学校の外だったし」
「それはそうだけど。……あたしの前でしてたことには変わりないでしょ？」

　確かにあの時の柚留の格好は、ジーンズに、ふわふわなレースが少しあしらわれただけの白いトップスだった。そこまで派手な格好ではない。
　それに比べて今回はワンピースだし、足も出す。ポスターということで、新歓が終わる時期まで校内中に貼り出されるし、『男の娘』と大々的に書かれてしまうのだ。
　確かに……恥ずかしいかも。
　でも、だったらなぜこのポスターモデルを引き受けたのか。
　そこがあたしには、一番腑に落ちなかった。
　あたしが知っている柚留は、入学してすぐの大学で、見ず知らずの先輩にそんな恥ずかしいポスターのモデルになってくれと言われ、あっさりOKするような性格じゃない。
　……やっぱりまだ、何かを隠してる気がする。