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あたしに全部見せなさいっ!~大学編~
第9章 エピローグ
一番気になっていたのはそれだ。
「あのね、荒巻先輩のお母さん、美容師さんなんだ。荒巻先輩も、そっちを少し勉強してるみたいで髪切るの上手だって。ポスターの時の僕の髪も、荒巻先輩がセットしてくれたんだよ?」
そういえば、普段から癖っ毛でふわふわな柚留の髪が、少しいじってあったかもしれない。
へー、多才だ。だから柚留の髪をよく触ったりしてたのか。職業病みたいなものなのかなと、あたしは一人納得した。
「好きな人に髪を切ってもらえるなんて、ロマンチックよね」
と詩織。
「うん。今度切ってあげようか? 柚留」
「……うーん、嬉しいけど、まりねちゃん不器用だからちょっと怖いなあ」
引きつった顔でそう言う柚留。詩織は声に出して笑った。
そのあとはご飯を食べて、三限めを受けに講義室に向かった。
今日は四限までフルである。三限で一度柚留が抜けるけど、それ以外は受ける科目もかぶっているという、珍しい曜日だった。
そして四限を終えた放課後。詩織は久しぶりに彼氏に会えるからと言って、講義終了のチャイムと共に全力で教室を出ていった。
あたしは柚留と顔を見合せ、二人で、教室を、大学の敷地を出る。