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あたしに全部見せなさいっ!~大学編~
第6章 真実を探れっ!
間もなく教室の明かりがついた。
「あそこで何する気だろ?」
「んー、誰かと待ち合わせ?」
「わざわざこんな場所で?」
食堂や図書館などの施設ならわかるけれど、人の往来が少ない棟の名前すらない空き教室で?
「怪しすぎる……」
詩織が深く眉間に皺を寄せる。
「中、覗いてきなさいまりね」
「あ、あたしが? でも相手が来たらバレちゃうよお……」
中の様子は確かに気になるけどもっ。
どうしたらいいかわからず、教室から少し離れた踊り場から二人して顔を覗かせ教室をじっと見ていると、反対側からもう一人、誰かが歩いてくるのが見えた。
待ち合わせ相手がやってきた! 一体どんな人だろうかと凝らした目が凍りつく。
だってそれは、ついさっきまであたしと一緒にいた人物だった。
「……ゆずちゃん?」
呆然と呟く詩織の声。
その声で、シャボン玉のようにあたしは弾けた。
「待ちなさいって!」
反射的に踵を返して走り出そうとするあたしの腕を、詩織が掴む。思いのほか強い力だった。
強制的に、動きを止められてしまった。