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あたしに全部見せなさいっ!~大学編~
第7章 種明かし
そりゃ、確かに詩織に比べれば美人じゃないけど。服装もダサいかもだし化粧は眉描いただけだし。
でも失礼っ。
隣で小さく「ぷっ」と噴き出す音が聴こえた。
詩織までーっ。
「あ、ごめんなさいね! 自己紹介してなかったわ! 私は荒巻香苗(あらまきかなえ)、国文科三年です。よろしくお願いします」
「あたしは藤峰まりね、情報科の一年です」
「同じく情報科一年、大崎詩織です」
荒巻先輩に、つられるように挨拶を返す。
「森永くんを貸してくれてありがとねっ! おかげでいいポスターが仕上がりそうよ!」
語尾に音符マークでもつきそうな、うきうき声で荒巻先輩が両手をパンと胸の前で合わせる。
「……ポスター?」
「あ、あの……荒巻先輩」
唐突に出てきた単語にあたしがおうむ返しで首をかしげると、柚留がおずおずと、あたしたちの方へと歩み寄ってきた。
「……言ってないんです。まりねちゃんにも大崎さんにも、この件について」
「ええ!?」
荒巻先輩は、驚いたように声をあげた。
柚留はあたしをちらりと見やり、睫毛の濃い大きな瞳を申し訳なさそうに伏せながら、一言だけ呟いた。
「……心配させちゃってごめんね、まりねちゃん」