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TORTURE −対女性拷問者−
第8章 番外編 拷問者の受難
「あ、あの!」
「どうしたの?」
打って変わって優しい顔をされ、綺梨は逆に言葉に詰まる
「こっ、この人は柏木とは関わりないわ!」
「じゃあ何者?」
「そ、それは……」
目を泳がせて必死に考えている様子の彼女に、由貴はそっと手を重ねた
「綺梨」
そこには心配そうな、だからこそ厳しい表情があった
「姫ともあろう者が、正体を明かせない奴を側に置いちゃいけないよ。
これまでだって、たくさん辛い目にあってきただろう」
「由貴兄様……」
尤もなその意見に、返す言葉がない
綺梨は唇を噛み締めた
こうなったら、もう本当のことを−−−
「分かっているわ、いけないことだって」
綺梨は自分の本当の気持ちを打ち明けることに決めた
「確かに彼の正体は言えない。だけどね、彼は私にとっていなくちゃいけない存在なのよ」
目に涙を溜め、由貴の手を優しく退けた
「彼といる間だけは、姫であることを忘れられる。
心配してくれてるのは、私の為を思ってくれてるのはよく分かるの。だけど…だけど……」
由貴はその瞳をじっと見つめ−−−