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TORTURE −対女性拷問者−
第10章 逝き地獄
見張りではない
だが殺気もない
“誰だ?”
女が店に入ったのを確認すると、彼は辺りを見回した
“……!”
暗がりで、何かが蠢く
その時、彼の胸は不自然に波打った
“まさか…な……”
もしそうであったなら−−−いや、そうであってはいけない
頭に浮かんだ顔を振り払い、店の中に視線を戻す
“!”
が、そこに女の姿はなかった
…パタン
“裏か……!”
遠くで扉の閉まる音が聞こえ、彼は急いで店の裏口へと回り込む
路地裏に入ったとき、標的の女が走っていくのが見えた
「チッ…」
だが男の脚にかなうはずもない
あっという間に、女は彼の腕の中に囚われた
ガシッ
「きゃっ……!」
「俺から逃れられると思うな」
彼は女の両手を頭上で交差させ、自らの手で拘束する
「や、やめて……」
「治安部に狙われる身のくせに、随分と純情そうな顔をする」
その嘲笑うような笑みに、女の体はがくがくと震え出した
「知りません……私そんなこと……」
「ああ、お前はそのつもりだったんだろう。上手いことやっているようじゃあないか。
あの治安部が証拠はおろか、現行犯逮捕も出来ないんだからな」