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TORTURE −対女性拷問者−
第12章 隠された真実
“やっぱり父様に……”
父が鍵を握っているのは明らかだった
でもそれが自分の望むものでなかったら?
戻って来てから、綺梨は何度も父の下に行きかけてはやめるを繰り返していた
長から訪ねて来ることはない
コンコン
「姫様、失礼致します。あの……」
乳母は彼女と目を合わせないよう、低い姿勢で用件を伝える
使用人の態度も変わった
長の秘密が知れてしまったから。
厳しい箝口令により、この城から外には漏れていないはずだが−−−
長はずっと対応に追われていた
「長が……今夜は一緒にお食事をと……」
おどおどと話し終えると、主人の返答を待つ
「分かったわ。すぐに行くって伝えてちょうだい」
乳母は一礼し、そそくさとその場を後にした
「……ああ、そうか」
失って初めて、今までのありがたみが分かる
彼はずっとこんな思いをしていたんだろうか
口うるさい乳母も、日常を分かち合う運転手もいない
この孤独の中で、あの諦めたような瞳が−−−
‘所詮お前は籠の中の鳥なんだな’
また彼の言葉が思い出される
“そうよ。でもそれじゃいけない”