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TORTURE −対女性拷問者−
第12章 隠された真実
それを知って初めて、今の彼の気持ちが分かる
「“存在しない者”って、どういうこと?」
長は再び溜め息をつく
聞かれないはずはなかった
だが−−−
「それは私の口からは説明できない」
「なんでもって言ったじゃない!」
教えるとは言ってないだろう、と答えながら長は立ち上がった
「ついてきなさい」
「……?」
「ヒントくらいにはなるかもしれない」
綺梨は父の背中を追って歩く
食堂を出てから、彼は一言も口を開いていなかった
「ここだ」
城の一角、南京錠で堅く鎖された扉の前で長は立ち止まった
「ここって……」
亡くなった母様の部屋だ
幼い頃からここに近づいては叱られていた
「……開けるぞ」
僅かに震える手で鍵を差し込む父
ギィィ…
錆びた蝶番が重苦しい音を立てる
“だから、分かっていたけど来れなかった”
少し埃が立つ薄暗い部屋で、光の射し込む窓がぼんやりと浮かび上がる
思った通りだ
そこからは、二人が初めて言葉を交わしたあの場所が見えた
「私は真梨子が亡くなってからこの部屋に入っていない。だから何かがあるかも分からないが……。
彼女もいつもアイツを気にしていた。探せばあるいは……」