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TORTURE −対女性拷問者−
第12章 隠された真実
探すまでもなかった
壁際に置かれた机の上に、
『Diary』
という文字
綺梨は近付き、その少し古びた表紙を撫でる
「……ではな、綺梨」
「ええ……」
うわの空の娘を残し、長は部屋を後にした
ギィィ…
再びあの重苦しい音が響く
それは、開けてはならない扉を開いてしまった時の−−−
バタン
「すまない、綺梨」
小さな声で謝りながら、元のように鍵をかけなおした
「もう二度と、失いたくないんだ」
私に似ているお前だから。
何をしでかすか分からない程、無鉄砲で身勝手で−−−
それでいて、私よりも純粋なお前だから。
“その酬いを受けるのは、私だけで良い”
彼の頭には、あの忌々しい記憶が甦っていた−−−
それは、もう二十年以上も前のことだ
成人して半年、初めての任務が下った
コンコン
ガチャ
「お呼びですか、父上」
「ああ」
執務室には、長が−−−彼の父親が、少し疲れた様子で座っていた
「次期長、治安部を率いる者としてのお前に任務を与える」
堅苦しい言い方だが、長はいつもこうだった