この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
TORTURE −対女性拷問者−
第12章 隠された真実
「死んだことにするんだ」
上司の命令の意味が分からず、守矢はますます顔をしかめた
「今日ここにいる治安部隊員を除く全隊員に……長にも、母子共々崖から身を投げたと伝えろ」
「それで、実際にはどうするので?」
「地下のあの部屋に繋いでおけ」
そう言って再び子供に目を向ける
既に泣き止んでいたその子は、畏れてまた震え出した
「コイツには……」
彼の瞳には憎しみが、憎しみだけが浮かんでいる
彼にとってその幼子は不義の子であり、決して存在してはならないもの
在ってはならない、彼の欲望の象徴
故に、憎い
だからこそ、彼は決めたのだ
「やってもらうことがある」
自分の中にある欲望を、罪を、総てこの小さな体に背負わせよう
「お前は拷問者だ。
この世の女どもから真実を暴き出す為の、な」
その日から、幼子は“トーチャー”と呼ばれた−−−
長が出て行った後もしばらく、綺梨は母の日記の表紙を指でなぞっていた
十年以上積もった埃はすっかり落ち、文字が金色に輝く
それを朱に染める光に、彼女はふと顔を上げた
“ああ、もう……”