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TORTURE −対女性拷問者−
第12章 隠された真実
日が沈む
何度思い描いただろう
この光の中に佇む、彼の姿を。
“黄昏……”
たそがれ
誰そ彼
彼は、誰−−−
カサッ
綺梨はゆっくりと表紙を捲り、その答えを探して母の文字を追い始めた
五月十一日
今日、私は十八になり、成人した
そして明日、この邦の長となる方に嫁ぐ
幼い頃に決まった結婚だけれど、六つ違いのあの方とは親族の集まりで数度顔を会わせただけ。
長らしくないなんて言われていたけれど、どんな方かしら?
「お美しくなられましたな、真梨子殿」
「ご無沙汰しております、長。お体の方は……」
「いやなに、周りが少し騒ぎ過ぎなだけだ。まだまだアイツに席は譲らんよ」
長はそう言って辺りを見回し、当人を探す
息子は父の視線に気が付いたのか、呼ばれる前にやって来た
「真梨子さん、お久しぶりです」
「ええ、分かりませんでしたわ」
二人が揃ったところで、長が婿の父親らしいことを言い始める
「さて、私はまだまだ現役だが万一ということもある」
「父上!」
「早く元気な後継ぎを生んでくれ」