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TORTURE −対女性拷問者−
第2章 蠱惑の華
長は話すかどうか一瞬迷い−−−
「綺梨」
父親は綺梨の隣に腰かけると、出来るだけ優しい口調で語り始めた
「彼のことは話せない。治安部でも数えるほどしか知らない機密事項なんだ。
頼む、忘れてくれ」
頭を下げて頼み込む
だが綺梨はそんなことを聞いてはいなかった
「治安部? 父様直属の?」
長はしまったという顔をした
「彼はそこに所属しているのね?」
「綺梨!」
物分かりの悪い娘に長は思わず立ち上がって怒鳴った
「あいつのことは忘れなさい!
昨日見たことは全部夢だった! 良いな!?」
そしてまた綺梨が何かを言い出す前に部屋を出ていった
バタン
“トーチャー……彼は何者?”
ガシャァ…ァン
「さぁ、尋問を始めよう」
彼が言葉を発する度に、その長い黒髪が僅かに揺れる
整った顔に浮かぶ不敵な笑み
そんな狼の前に引き摺り出された一人の女
「お前には密入国の疑いがかけられている。
俺の質問に嘘偽り無く答えろ」
「あー、ワタシこのクニのコトバわからないあるヨ」
なんとも馬鹿にしたような態度だ