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TORTURE −対女性拷問者−
第2章 蠱惑の華



綺梨が再び撫でようと手を伸ばすと、ケンはその手をするりと抜けて暗がりに向かって走りだしてしまった



「ケン!?」



綺梨も慌てて後を追う



「ケンー? どこ行ったのー?」



しばらく行くと、茂みに覆われてはいるが確かに人が通る為に造られただろう小道が続いていた



“こんなところがあったのね……”



微かに聞こえていたケンの声が消える

不安になって辺りを見渡すと、城の裏手まで来ていた



「ケン……?」



愛犬を探してもう一歩を踏み出したとき、綺梨は固まってしまった



“誰……!?”



よくよく目を凝らして見れば、その人物はしゃがみこみ自分の愛犬を撫でていた

ケンの方も、さっきまでとはうって変わって安心したようにその手に身を委ねている

そのことに少しほっとしたのか、綺梨は小さく息を吐いた



「……誰だ」



“不味い、気づかれた……”



しかしここまで来て引き返すわけにもいかず、ゆっくりと歩み出る

男の立つ、少し開けた場所まで来て綺梨は息を呑んだ



「貴方は……!」



すらりとした美しい男

黒の長髪が風にたなびく−−−

その妖艶さ故か、昨日の出来事を思いだしてか、綺梨の脚はがくがくと震え出していた



「ああ、しまったな」



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