この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
TORTURE −対女性拷問者−
第2章 蠱惑の華
「さっき自分で呼んだだろう?」
「でも、だって……“トーチャー”は“拷問者”って意味だから……まさか本名じゃないわよね? 通り名とか役職名とかでしょ?」
“まさか本当に拷問を仕事にしてるとは思わなかったけど”
「それが名でないのなら、俺に名はない」
“トーチャー”は大したことではないという風だが、綺梨にとっては衝撃だった
“名前がない!?”
「それって……」
「姫様ー! どこへ行かれましたのー!」
「タイムリミットだな」
トーチャーはそう言うと、ケンを持ち上げて綺梨に渡した
「コイツもちゃんと見ておけ」
「え、ええ……」
そうして今度こそ去ってゆく
「クゥン……」
ケンが寂しげに鼻を鳴らした
「また会いたいわ!
……ケンが寂しがるから」
思わず言ってしまった言葉に慌てて小さく理由を付け足す
フッ…
トーチャーはそんな綺梨を見て目を細めた
昨日と同じ、恐ろしいほどの艶やかな笑み−−−
「いや、やめておけ。
俺が会うのは咎人だけだ」
そう言い残し、彼は城の中へと消えていった−−−
「……」
“……ん?”