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TORTURE −対女性拷問者−
第3章 聖処女
「だから?」
あまりにも簡潔な答えに目をやると、亜美は今にも笑いだしそうな顔をしていた
「それだけ〜? あんたまさかそれ全部亜美がやったと思ってるのぉ?
ひどい名推理! 友達が死んで亜美も悲しんでるのにさ、疫病神扱いしないでくれる?
それとも何? 昨日私が助けていればとか、そういう後悔当てつけてるんですかぁ?」
亜美は綺梨の顔を覗き込んで言う
"あの時私が助けていれば"
"無理やりにでも、話を聞いていたならば"
それは、綺梨が最も気にしていたことだった
「なんだぁ、だんまり〜? じゃあ亜美もう帰りますね〜
バイバイ、お姫様」
バタン
いつの間にか止まっていた車から亜美がいなくなると、運転手は再びエンジンをかけた
「姫様……」
「大丈夫よ」
本当は大丈夫ではなかったが、綺梨は心配させないように笑う
「彼女が首謀者ですか……ええ、わたくしもね、彼女がやったと思いますよ。ただ如何せん証拠がない。治安部でも捕まえるのは難しいでしょうなぁ」
"治安部……"
「本人が自白でもしない限り、まず無理ですね」
"自白……
そうだわ、まだ手はある!"
その時彼女の頭には、ある一人の男が浮かんでいた−−−
"でもどうやって頼めばいいのかしら……"
夜、食事を終えて部屋に戻った綺梨は一人で頭を抱えた
"父様には言えない……あそこにいても、彼がいつ来るかは分からない……"
しかも先日の彼の言葉を思い返せば、普段彼が現れるのはかなり夜遅いはずだ
だからといって、この間のように気まぐれに早く来ないとも限らない
"ああ〜、もうっ、どうしろっていうのよ!"
やっぱり寝室を抜け出して一晩中張ろうかと思っていた矢先、乳母が声をかけてきた
「あら姫様、今日は珍しく静かですわねぇ。ケンともお遊びにならないで」
"ケン……そうだわ、ケンよ!"
綺梨は引き出しから紙とペンを取り出し、急いで何かを書き付ける
「ありがとう!」
「はい!?」
風のように疾く中庭に出て飼い犬のもとに向かった