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TORTURE −対女性拷問者−
第3章 聖処女
飼い主の姿を見て、ケンは嬉しそうに吠える
「ケン、今晩はわざとお前の鎖を外しておくわ。だからお願い、彼の気配を感じたら、これを届けて」
そう言ってケンの首輪にメモを挟んだ
"上手くいくといいけど"
ベッドに潜り込んでうとうとしながら考える
"早くしないと……また新しく…犠牲者……が……"
そうして何時の間にやら、綺梨は眠りについていた
「おい」
眠りの中、誰かが私の体を揺らす
「おい、お姫様」
その揺れは徐々に激しくなり、"お姫様"と呼んでいるにも関わらずそれにそぐわないあまりにも乱暴な扱いに、
「ちょっと、誰よ! 失礼ね!」
思わず相手の腕を鷲掴みにしてしまった
「あ……」
「呼び出されたから来てみれば……結構なお出迎えだな、姫」
「トーチャー……」
月明かりに照らされた、漆黒の拷問者−−−
綺梨はその冷たい瞳に恐怖を憶え−−−
「ごめんなさい!」
たわけでもなく、ただ素直に謝った
「ちょっと寝惚けてて……」
「ああ、お姫様は余程寝つきが悪いとみえる」
トーチャーは愉快そうに笑っている
"相変わらず……"
失礼な人ね、と言いかけて、今回は先に無礼を働いたのは自分だと気がつく
仕方なく、代わりにこんなことを言った
「私、姫って呼ばれるの嫌いなの。だから名前で呼んでくれない?」
「そうか、分かった」
トーチャーは彼女の願いに特に興味もなさそうに答えた
「で、何の用だ。会わない方が良いと言ったはずだが」
「尋問……してほしい相手がいるの。自白でしか罪を追及出来ない相手」
「"完全な法治国家"じゃなかったのか?」
トーチャーはかなり痛いところをついてくる
「そうだけど……もう人が何人も死んでるの! このまま放っておくなんて……」
「お前の父親は知っているのか?」
その問いに綺梨は首を横に振った
「まあそうだろうな。お前から犬を介した依頼が来る時点で……」
その時のことを思い出したのか、トーチャーはまたクックッと笑う