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TORTURE −対女性拷問者−
第4章 芥子の実
「いいか綺梨、私は奴の後を追う。そうしたらお前はすぐにここを閉めてくれ。
決してついてきたりするなよ」
「……はい、父様」
そして長はまた暗闇へと姿を消した−−−
「私の考えが当たっているといいけれど……」
ぽっかりと開いた空間を見つめ、綺梨は呟いた
長がトーチャーを追ったのは、どう考えても彼の為ではないだろう
そして綺梨もまた、自分の考えに確信をもちながらもそこに自分勝手な願いが籠められていることに気づいていた
“私のせいじゃない……そうであってほしくない”
と−−−
コッコッ…
事件の発端となった路地裏−−−
そこを歩く背の高い長髪の男−−−
彼は一連の騒ぎが自分をおびき寄せるための罠だと感づいていた
しかし、そこに敢えて身を投じる−−−
心なしか彼の顔は笑っているようにも見える
それはいつもの凍りの微笑ではなく、どんなに危険であれ一時得た自由−−−それを満喫しているようなものだった
「いやぁ、やめてぇえ!」
トーチャーの耳に、微かに女性の悲鳴が聞こえた
これだけ報道で注目を浴び、人気のなくなったこの場所で尚犯罪を犯す者がいるとすれば−−−