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暴かれるトヤマのプチ黒歴史は・・・
第2章 17歳、春。
★★★★★


『彼女と話してみたの?』


プリントを添削しながら不意にカオリ先生が口を開いた。

"彼女"と言うのは僕の婚約者、ヨネザワ・マリさんを指している。

親たちが、高校進学のお祝いを口実にパーティーを開き、少しでも仲良くさせようと企んでいるのが見え見え。

行く前から嫌になり、先生に愚痴っていたんだ。


『・・いえ、話してません。』

『ええー。もぉ。頑固者。
 マリさん傷ついてるんじゃない?』

『大丈夫ですよ。会食には他にも
 沢山人が居ましたから。』

中高一貫の女子校だから、高校進学と言っても全員同じメンバーで、パーティーには彼女の友人達が沢山招待されていた。

僕が言って話す必要なんてないだろう。

カオリ先生はガクっと首を傾けて、呆れた様に僕を見る。


『はぁ。
 結婚してる私の友達は、
 お見合いとか
 その手の相談所を利用した子がほとんどだよ。
 それと、同じじゃない?
 いろんな条件を考えて、
 良い人が居るよーって言うのが相談所か、
 親かの違いだけ。』


『僕は嫌なんです、
 そんな、親に決められるって納得いかない。』

『まあね。でも、まだ高2よ。
 すぐに結婚じゃないでしょ。
 相手が切羽詰ってないうちに、話してみなきゃ。
 相性が合わないなら、
 婚約破棄してもらえるんじゃない?』

そんな自分の感情で簡単に物事を変えられるなら、こんなに悩んでないのに・・

『確実に他人事だと思ってる。』

カオリ先生とは、中2で出会って、ずっと先生というより、なんでも相談できる頼りになる姉のような存在だった。


とはいえ、こんな風に甘えて先生を困らせるつもりは無いんだけど・・

今日は妙なイライラが抑えられなくて、ため息つきながら頬杖をつく。

ずっと使っている机は、
本棚の横に置かれていて、学校机二個分ほどの大きさ。

向かい合って座る彼女の髪が揺れ、ふむぅと妙な声を出しながら頬杖をつくと、ドッキとするほど距離が近づく。

先生は化粧っ気が少ない割に、目元がやたらと色っぽいんだ。

唇も触れたくなるほど柔らかそうで、無造作に束ねている少しウエーブのかかったセミロングの髪だって・・すごく柔らかそう。
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