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第11章 【SS企画】朱羽と木島が、陽菜の前でディープキスをする

　


「司会～、香月朱羽具合悪そうなので、一緒に早退……」

　俺は陽菜に抱きよせ、その口を俺の胸で塞いだ。


『なんだ？　そこのバカップル』

「なんでもないです。もういいでしょう？　いいのなら終わらせて下さい」

『終わる前に感想を。まず木島！』

「課長の唇は、柔らかくて甘くて……俺、幸せでした。やみつきになりそう」

　ぽっと、顔を紅潮させる木島くん。

「いけない道に入りそうっす。課長と」

　ああ、なんでここまで嬉しくないんだろう。なんでざわっとするんだろう。木島くん自体は、嫌いではないのに。

　ざわざわざわ。


　俺は陽菜をぎゅっと抱きしめ、陽菜の肩に顔を埋めた。

　俺はこっちがいい。
　こっちじゃないと身体が幸せを感じない。

『次は香月！』

「……筆舌尽くしがたい感触。この世のものとは思えぬものを五感で感じさせていただきました」

「課長、そこまでよかったっすか？」

「その逆です。早く陽菜に口直しをして貰いたい……。俺、陽菜しか感じない身体になっているから」


『……まあ、わからねぇでもねぇな。ここは、それでもやり遂げた香月の男気の勝利！』

　……これは勝負だったのか？

　拍手が流れて、なにを勘違いしたのか、木島くんが自分の頭を撫でながら、照れてぺこぺこと皆に頭を下げていた。


　陽菜。

　あなたとのためなら、俺はなんでもする。


　あなたの熱、あなたの匂い、あなたの声。

　それに勝る魅惑的なものはこの世に存在しない。


　あなたに助けて貰ったあの時。
　あなたの笑顔を始めて見たあの時。

　その時から俺は、あなたに惹かれ、あなただけにしか心が動かなくなってしまった。

　これほど恋い焦がれる相手に出会えた奇跡と、そんな相手からも心を貰えるこの至福。俺達を結んだ満月に感謝したい。

　だけど、胸がいまだ苦しいんだ。

　心を壊すほどに、今も……あなたが好きで好きでたまらなくて、膨れあがり続けるあなたへの想いに、どうしたら俺は楽になれるのだろう。

　
　……だけど、俺はこの甘美な苦痛に、ずっと苦しむのが宿命のようにも思える。

　あなたへの愛は、永遠にとまることがないから――。




　(-□д□-)✧　Syuu