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【SS企画】みんななかよし
第13章 皆で節分!
サクside
「おい、イタ公。お前腹壊すぞ(そのちょこれーと)」
俺はうまそうに、もぐもぐとカラフル握りを食べているイタ公に言う。
「うまいぞ、小僧も食うか?」
真っ白い毛をちょこでおかしな色に染めて、甘ったるい匂いを放つ、我らが神獣玄武。
「いらねーよ、そんなもん」
「ひどいわ、サク!」
「ひどい、サクくん!」
振り返ると、姫様とインマシズルがわなわなと唇を震わせて言った。
鬼が魔物なら、インマも鬼の仲間だな。
「あたし達が、イタ公ちゃんに一生懸命作ったのに」
……姫様、それ形が崩れたから、俺じゃなくてイタ公行きになったんですよね?
「そうよ、あたし達、イタちゃんのために作ったんだから!」
……いやいやお前も、ぼろぼろしていたのをナツによってイタ公が食べられるものにと変わったんだよな。
それでも、姫様までもがイタ公のためイタ公のためと言われると、イラっとするんだよ。
イタ公より、俺は?
俺のためになにもねぇのか?
だから俺は、イタ公が食べようとしていた小さいおむすびを食べる。
なんだかすげぇ塩味と、すげぇ甘みが混ざった味で、意識が真っ白になりかけたけど、なんとか食った。姫様が作ったと思えば。
「おかわり!」
するとシズルが笑って、俺の肩を叩いた。
「そんなまっ白で死にそうな顔をしてご苦労様。ちゃんとサクくんの分は、ユウナちゃんが作っているから、ネズミのはイタちゃんにあげてよ」
「姫様、俺の分もあるんですか!?」
「あるけど、イタ公ちゃんの方がいいなら……」
「そっちの方がいいです、そっちの方が!」
「んん? こっちの方が美味しいぞ? あーうまうま♡」
姫様、最高♡
「ああ、忙しい忙しい、ああっと、ごめんサクくんぶつかっちゃった!」
食おうとした俺の顔に潰れたおむすび。
「ヒナ、コロス!」
「ぎゃー、なに!? 武神将の乱心よ、助けて~」
すっ飛んでくるのは、ネズミ握りを食っていたイタ公を、後ろから抱きしめていたヒナの武神将。
眼鏡が殺気に光る。
そう来たか。だったら――。
「はーい、邪魔邪魔!」
突然声だけがした。
時折声だけ聞こえるんだよな。
誰が喋っているのかよくわからねぇけど、繰り出した俺の拳は宙で止まっていた。
佐伯家は、不思議な家だ。