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【SS企画】みんななかよし
第13章 皆で節分!
サクラSide
「随分とハルさんの帰りが遅いなあ……」
俺は皆にジュースを入れ、時計を見ながらため息を零す。
ハルさんを迎える支度は出来ているのに、もう夜の八時だ。
「ハル兄、2日連チャンの徹夜明けなのに、3日になるのかな」
あのひと…シズルさんが言う。
「やはり、ハルさんの夜勤明けではない方がよかったんじゃ……」
「だけどモモちゃん、節分は今夜だよ? なにを言おうと今日やらなきゃ」
「それはそうかも知れないけど……」
ハルさんの不機嫌そうな顔が目に浮かぶ。
だけどハルさんはなんだかんだ言って、毎年ノリノリで鬼をやってくれるから、今年もどうか平穏な節分で終わりますように。
……鬼が暴れませんように。
ちゃんと、ハルさんの三種の神器のうちふたつはいいものを揃えたんだ。気持ちよく節分を終えたいな。
「鬼さんの仮面出来たかな? 結城くん、どーおー?」
「あーシズルさん。あとは輪ゴムつければばっちり」
「あっはっは。これをハル兄がつけるんだ。可愛すぎ、あははは。なんかもうリアル鬼さんの方が怖そう……ああ、こっちの方がハル兄っぽいよ?」
あのひとが手にしたのは、さっき朱羽さんが書いていた写実的な絵だ。
俺の従兄は中々に美術の才能があると思う。
あのまま3D印刷をしたら、凄いものが出来上がりそうだ。
さすがは朱羽さん♡
「なんかさ、これつけるのは……そうだ。ユウキくん。そのおめんあと7つ作ってくれない? ナツ~」
あのひとはナツのところに行った。
結城さんが描いたのは、本当にファンシー過ぎる鬼のイラストだ。
これをハルさんがつけるのはちょっと結城さんの書いた鬼が可哀想だ。
……そうだ。あの子達につければいい。
「結城さん、いろんな色のその鬼のお面をみっつ作ってくれませんか?色違いで」
「へ?」
「小鬼集団を呼んできます」
その姿を想像した俺は緩む顔を隠しながら、こっそりと佐伯家を出た。