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【SS企画】みんななかよし
第13章 皆で節分!
 

ハルside



 ようやく、地獄の夜勤が終わった。

 今回は特に、医者泣かせの患者の容態の変化に、地獄のかまどでぐつぐつ煮られている気分だったが、なんとかこの時間に持ち直してお役御免。

 寝る。
 誰がなんと言おうが、寝る。

 寝て回復しなきゃ、シズに栄養やれんだろうが。
 シズは甘えただから、何度もせがむからなあ。

 などと、現実と夢を半々に織り交ぜて家に戻ると、なにやら久しぶりの面々もがリビングに勢揃いだ。

 なんだ?
 お疲れの俺を出迎えたのか?

 いやいや、そんな奇特なことをする奴らではない。

「誰かの誕生日か? こんなに食事も豪勢に」

 ナツが俺になにかを渡す。

 見ると、凄まじい写真のような鬼のイラスト。
 凹凸リアルに、飛出して来そうな見事なイラストだ。
 
「なんだこれ。誰の自慢だ?」

 すると、最近めっきり出番が減った男がぽっと顔を赤く染めた。

「気に入って下されば嬉しいですが……」

 なんだ?
 俺へのプレゼントか?


「お兄ちゃん、つけてつけて」


 ナツに急かされるままそれをつけた途端、始まった。



「鬼はそと~っ!!」


 全員……九人分の攻撃が。

 え、いつの間に、世は節分になった!?


「鬼はそと、えいえい~」
「鬼はそと~っ、こんちくしょう!!」


 この夜勤明けでへろへろな俺に、全員がよってたかって大小様々なものを投げつける。

 
「わっ、ちょっ!」


 誰だ、本気で叩きつけるのは!


 佐伯家の節分で投げるのは豆じゃない。

 菓子だ。
 いろんな菓子が俺にあたって床に散らばる。

 それを、どたどたと足音をたててやってきたのは……。


「おかちだ!!」

「こーづき、ひとりじめすんなよ!!」

「きゃははは、いっぱいいっぱい」

「ひーちゃん、僕も、僕も!」

 
 ……俺が渡されたものとは大違いの、パステルカラーでピンク、水色、黄色に塗られた可愛い鬼のイラストを、額につけた幼稚園児三人組の小鬼達。

 
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