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【SS企画】みんななかよし
第5章 【SS企画】①ハルとモモが初恋の話をする
 

 Momo Side


 ハルさんの初恋はあのひと……静流さんだということは俺もわかっている。

 遠い昔から、ハルさんはやたらあのひとに構い、無視されると執拗に落ち込んでいたことを、俺は何度か目撃していた。

 あんなに大きな男らしい身体を子供のように丸ませて、あのひとの気を引きたい(=突っ込まれたい)だけに染めた金髪頭を気落ちしたように項垂れ、あのひとの様子を窺うさまは、どう見ても親に叱られた子供で。

 さらに言えばあのひとが原因不明で眠り込んでしまった時、ハルさんと……そして、やはりあのひと一筋のナツが落胆を通り越して、情緒不安定になっていたのを知っている。

 無敵なこの兄弟をそこまでダメージを与えて、そして目覚めた時にはこの兄弟に生気を戻す、その力はあの小さな身体のどこにあるのだろう。

 つるっつるの脳みそ……という名の、今では12年も眠り続けたおかげで、余計干からびて萎縮し梅干しほどになって、なんとか存在してる……あの頭蓋の中か? 

 あのひとが目覚めてから、兄弟は顔色までよくなり、笑うようになった。

 あの変貌は、今でも俺が理解出来ない不可解な現象だ。

『はい、次は佐倉くんの番です!』

 昔のことを思い出していたら、司会の鹿沼さんが、俺を名指しした。

 ……なあ、なんの因果で、俺は……ハルさんの初恋と同じひとを、語らないといけないわけ?

 これだったら、えっちな話をするかえっちな玩具を買いに行ったり、木島さんとキス……いやいやこれは絶対嫌だから、前述ふたつの方がまだよかった気がする。

 しかしなんだ、俺の初恋はあのひとだって、皆知っているのか?

 知ってた上で、こんなにやにやとした視線を送ってくるのか?
 
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