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【SS企画】みんななかよし
第5章 【SS企画】①ハルとモモが初恋の話をする
「なに慌ててる、サクラ――」
タバコを吹かしながら、ハルさんが俺を見る。
俺が尊敬するサバンナの帝王は、ゆっくりと目を細め、そして尋ねてくる。
「サクラ、お前の初恋の話、言えよ」
どうして言えようか。
俺の初恋はあのひとで、さらに言えばサバンナの帝王と変態王子と同じひとが、今でも好きだなんて。
「……いや、その……」
「言え」
ゆったりとした口調から漂うのは、破壊的な威圧感。
ハルさんは、射るような鋭い眼光を放つ目をゆっくりと細めた。
「香月の調べで、お前が本編で初恋を語ったのは調べがついている。いくら俺様ネットの頭脳であるお前でも、あの従兄はお前のセキュリティーとやらを突破して覗いたそうだ」
……朱羽さん、なんてことしてくれたんですか。
上から朱羽さんのレンズがキラリと光り、朱羽さんの綺麗な唇が嘲るようにつり上がる。
「恨むなら、へっぽこ作者を恨め。あいつはあいつで、内情を調べないと鹿沼と破局させると言われたらしい」
酷いのは作者だ。極悪人だ。
「言わねぇと、俺ともナツとも今までの仲を解消する」
非情な帝王の言葉に、涙目の俺は――。
「初恋は……小学生の時、です」
「ほぅ? どんな奴だ」
ハルさんの作る煙のドーナツがぷかぷかと宙を漂っている。
「年上……の、姉の友達でっ」
ああ……、窓硝子に張り付いてにやにやしながら、鹿沼さんとユウナさんに指さしてなにかを話しているあのひとが見える。
「どんな状況で好きになった?」
「唇を……奪われてっ」
あのひとは自慢げに自分を指さし、
「初ちゅーはどんな味だ?」
「挽き割り納豆の、味です」
高笑いをして、なにかを言ってる。