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終わらない夢
第2章 現の夢(うつつのゆめ)
 商売の女も、出会い系の女も、レスの解消に付き合ってくれていた。

 ただ、最近は家族と過ごす時間が増えていた。

 貴史が小学生になり、会話も遊びも楽しくできるようになったからか。麻友子にも、恋人のような愛情ではなく家族としての愛情が芽生えていた。

「…お願い。」

 久々に、腕の中に女の感触を感じる。

 柔らかく、温かい。

 髪から甘い花の香りが漂う。

 


 タクシーで帰ろうが、ビジネスホテルや満喫で過ごそうが結局は金がかかる。

 まずは、麻友子に連絡をする。

 日も変わり、真夜中に差し掛かる頃メールをする。

 飲み過ぎて、終電を逃した。同僚達と朝まで、居酒屋にいることにする。

 そんな、メールを送る。

 すぐに返事が来る。

 気を付けてね。

 今までも、どんな女と会っていても気にもされずにいた。深く聞いてこないのを良いことに、麻友子を簡単に裏切っていた。

 なんの面白味も無い、女。

 色気も、性欲も無い、女。

 父の会社が傾いた時、援助してくれた友人の顔を立てたお見合いに何を期待し、どんな夢を持ったか。

 義理の見合いに、麻友子は簡単に承諾した。

 可哀想な女だった。

 両親を早くに無くし、血の繋がらない家族に育てられたらしい。

 自分には、両親と兄弟がいたからその寂しさはわからなかった。



 しばらく、二人で歩き駅の裏手にあるラブホテルに向かう。さすがに、ホテル代を出させるわけにはいかないと、自腹を切る。

 とりあえず、空いてる部屋をとり中に入る。

 淡い水色の色調に整えた部屋に、少しだけ躊躇う。

「本当に、僕なんかでよかったんだろうか?」

 知夏に聞くと、頷く。

「我が儘、言ってすみません。初対面の方なのに。」

「いや。」

 ベッドの端にちょこんと座り、キョロキョロと回りを見渡す。

「…こう言うところ、はじめて?」

「あっ、はい。」

 頬を染めて、恥ずかしそうに下を向く。

 純粋に可愛く思えた。

「あの…。名前、名前を教えて下さい。」

「仲村英輝です。歳は三十七歳。君は、いくつ?」

 少しだけ間が空き、困った顔をする。

「私、十九歳です。」

 若いとは思ったが、まだ成人前だったんだな。色んな女と付き合ったが、十代は流石にいなかった。

 かと言って、手を出す気にはなれなかった。
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