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終わらない夢
第1章 曖昧な夢
 心から、宏哉を受け入れたいと思った。

「…お願い…。宏哉さんを早く感じたい…。」

 蜜口に、男根をあてがう。

「麻友子さん、僕もあなたを…。」

 尖端がゆっくりと、飲み込まれる。

 身体を沈め、宏哉で膣はいっぱいになる。

「…ん、はぁ…んっ。」

 ギシギシとベッドが部屋に鳴り響く。

 甘い責めに喘ぐ。

「くっ…っ。や、やっぱり、きついですね…。痛くないですか?」

「ん、んんっ…大丈夫…です。」

 痛みではなく、例えようのないほどの刺激に頭の中が真っ白になる。

 宏哉の腰の動きが速くなる。

 少しだけ、荒いピストンに身体が熱くなる。

 子宮口を刺激する律動に、快感の泉が溢れ出す。

「あっ、あっ…んんっ…。」

「…うっ、くっ…はぁ、あっ…。麻友子、麻友子。」

 宏哉の表情を見ると、せつなく眉を寄せ息を吐きながら小さく喘ぐ。


 もう、何もいらない。

 彼がいてくれるだけでいい。

 私に必要だったのは、夫でも貴史でもなかった。

 ただ,私を愛してくれる人。



 曖昧な夢から目を覚まさせてくれる人。


「麻友子、もう…逝きそう…。」

 更に腰を持ち上げられ、奥深く突き上げる。

 脚を宏哉の腰に絡め、首元にしがみつく。

 お互いの、息遣いが響く。

「うっ、んんっ…。私、私も…っ。ああっ。」

「くっ、麻友子…麻友子っ…はぁっ、あっ。」

 目をきつく閉じる。

 頭の中で、身体の奥で快感が弾け飛ぶ。

 宏哉は射精に身体を震わせながら、私の名前を呼ぶ。

 その、吐き出された精を私の子宮は受け止める。

 一滴も溢さぬよう。

 貪欲に生を求める。



 お互い、果てたまま抱きあい時間を過ごす。

 離れがたく、寂しい。

 宏哉は優しく頭を撫で、髪をすく。

「…ずっと、一緒にいて下さい。」

 嬉しい申し出に、英輝の顔が横切る。

 愛があるわけではないが、家族としての愛情はある。亡くした息子を悲しんでいるのは、私だけではない。

 自分を責めるだけの夫。

 あれは、事故だったと一言声をかければまた、家族が作れるのだろうか。

 答えは、もう出ている。

 でも、それを言葉にしたら貴史の存在が消えてしまう。

 曖昧な答えは、曖昧のまま。

 曖昧な夢は、曖昧のまま。

 終わらない夢を見続ける。
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