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花籠屋敷
第3章 来客の号外
翌朝、いつも通り屋敷の仕事を始める。
朝は、昨晩野菊の口から出た石楠花とペアで部屋の清掃だった。
石楠花は身長が低く小柄だ、綺麗と言うより可愛いと言うのが似合うタイプだった。赤みのある癖毛の茶髪をマッシュボブに切っている。桔梗は羊のような石楠花の髪型を時折触りたくなる欲求に駆られる。

「さっさと終わらせちまおうぜ桔梗〜」

石楠花はその見た目とは、裏腹に男勝りな所があり、他の女中からマニアックな人気を集めていた。

「そうだね、ダラダラやっても終わらないし…」

と言いながら、桔梗は部屋の寝台の前で立ち尽くしていた。
シーツはバケツをひっくり返した様に濡れていて、ヌルヌルする…
布団まで染みているらしく、簡単に綺麗になる様子では無い…


掃除しているのは、昨日椿が狸親父と入った部屋だった…
一体一晩で何があったのだろうか…桔梗は色々と頭を悩ませる。

「無理ならあたいが寝台やろうか?」

石楠花が心配そうにこちらを伺った。
「ごめん!大丈夫!ぼっ、私がやるから!」

桔梗は、慌てて首を横に振って掃除に集中する。
シーツを捲り上げると手早く清掃ワゴン車に押し込む。

布団はワゴンで運べない…抱えてかなきゃ…

「お客さん一人で飲んだのか?結構な量だろこれ一瓶って」
石楠花は机の上のウィスキーの瓶を片手で放り玩具にしながら、思案する。

お互い異様な部屋片付けに四苦八苦しながらも1時間程で終え、汚れ物の洗濯へ向かう事にした。
ワゴン車を石楠花に任せ、桔梗は重い布団を抱えて洗濯場へ…布団を抱き抱えるとむせるような生臭い匂いがした…
桔梗は眉を潜めながら運ぶ

洗濯場は屋敷の北東に位置する。東には運動場が北には野菊に連れられた湯屋。
ちょうどその二つの施設に挟まれるようにして存在している。
綺麗な川の側で春先や夏場は心地良い

石楠花と二人で廊下を歩いていく
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