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花籠屋敷
第4章 分水嶺
調理場は、ピークの時間で慌ただしい…どうやら今は仕出し期間のようだ。女中達は、お客や自分達のお昼の料理を作っている。

卵焼き、牛スジの煮込みに、ウドのきんぴら、ふきのとうの味噌和え…どれも美味しそうだ…桔梗は暫し自分の札の事を忘れて、昼餉を眺める。
椿や野菊が朝呼びに来ないという事は、自分は休日の暇を貰ったのではないだろうか?…

そう思案にふけていると、奥の眼鏡の女中から天婦羅の沢山入った竹籠を両手に押し付けられる。

「そこの上の空の紫の上様、この忙しい中でお暇ならこれを手伝ってくれないですか?なーに、天婦羅を皿に綺麗に並べる、誰でも出来る簡単なお仕事ですから」

そう言って、そそくさと揚げ物鍋の前に天婦羅を揚げにいく眼鏡女中…桔梗は逃げる間もなく天婦羅配膳の仕事に就く羽目になった。

皿の上に、丁寧に天婦羅を乗せていくが、幾ら載せても次から次へと天婦羅が運ばれて来る…
流石に箸先が震え始める桔梗だったが、そんな桔梗よりも危ない女中が一人…
水色の髪の女中が天婦羅を運びに来るが、明らかに足元がふらついている…桔梗の配膳台に着く前に女中は派手に転び、天婦羅が宙に舞った。

「す・ず・ら・ん・ど・のー…あんたは洗い場でいいですよと言ったんですけど、何ぞ天婦羅運んで、空に放るんでしょうか?…ジャグリング?」

眼鏡の女中が天婦羅を被る青髪の女中の頭を菜箸の先で突く。
突かれながら鈴蘭と呼ばれた青髪の女中がつっかえ、つっかえ話し始めた

「いや…ほら…忙しいから…もっと手伝おうと思って……」

単純な答えに頭をかきながら眼鏡女中が溜息をつく

「気持ちは嬉しいけど、例の客の翌日のあんたは時限爆弾と一緒だから、休んどいて欲しいんだわ…これ、眼鏡班長のお願い」

「竹梅…大丈夫…私…絶好調」

絶好調という鈴蘭だが、桔梗の目から見ても普通では無い…何処と無く震えているし、視線がふわふわとせわしない

「そんな死んだ魚の目で絶好調って…どの口が言うよ?ほらほら洗い場で洗い物しましょうぞ鈴蘭どの」

「竹梅……待って…痛い…あっ!」

天婦羅を被る鈴蘭の頭を掴んで竹梅と呼ばれた眼鏡女中は洗い場へと歩いていく。頭を抱えてついて行く鈴蘭だったがまた途中で派手に転んでいた。


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