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第6章 幕引き

身体を暖めた二人は浴室を出て、それぞれの着物に着替える。

「札を…藤丸様…」と桔梗は片手を差し出す。自分の中から冷たい気持ちが這い上がる…

夢の終わり…元の他人へ…

「ああ、悪い…昨日はありがとう」藤丸は桔梗を真っ直ぐ見つめ札を桔梗の片手に乗せた

たった札一枚互いの手から外れるだけ…ただその瞬間に付けていたときの感情や思いも外れてしまう様な感覚が桔梗は不思議で、寂しかった。

「変な感じだな…ああ、湿っぽいのは無しだ！無し！遊びに行こうぜ、遊びに」そういうと藤丸は桔梗の手を引いて浴室を出て行く。桔梗も連れられる様に浴室を出た

屋敷の中は次第に目覚め始めたのか、廊下に人の姿が見られる様になった。すれ違う女中の視線の中に時折痛いものを感じるも、桔梗は次第にそれにも慣れていく…
向こう側から笠松と椿が手を繋いで歩いてきた。

「おう、笠松…帰りの夕暮れまで暇だろ…四人でスポーツでもして遊ばないか？」藤丸から口火を切る。昨晩と違って勇ましい顔つきの笠松…桔梗は昨晩、笠松が椿としっかり遊んだのを確信する。

「ああ、風呂から上がったらな…」藤丸の唐突な提案に少し素っ気なく返す笠松…椿が隣で桔梗を見れば一瞬微笑む。桔梗がその表情を確認すると椿はすぐ凛とした女性の顔を戻した。湯屋へと消えていく二人

「朝飯食おうか？」藤丸の提案に頷けば、桔梗は藤丸と宴会場へ向かう事にした。
朝餉を調理場の女中に二人分頼めば、藤丸と共に宴会場へ
隣合って朝餉を食べる事にする