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花籠屋敷
第6章 幕引き
「庭球はお昼が終わってから…桔梗と私は今から一仕事しなくてはいけなくって」ヒートアップする二人の会話に椿が割り込んだ。話し始めた椿の食台は綺麗に食べ終わられている

「桔梗、食べ終わったら私や野菊達と一緒に屋敷の掃除よ。大広間に来て頂戴」それだけ言い終わると食台を椿は片付け始めた。

「お昼から空くなら、昼餉終わりに運動場集合で!」藤丸が愛想良く椿を誘う。

「喜んで」そう微笑んで返すと椿は宴会場を出て行った。

桔梗は慌てて朝餉を掻き込んだ。行儀が悪いが仕事と言われると落ち着かない早く行かなくては…また、野菊や石楠花に会いたかった。自分を再確認させてくれる友達

「そんな、慌てなくても良いんじゃねぇのか?」藤丸が驚いてこちらを見る

「早く行って早く片付けなきゃ庭球出来ないですよ」お茶を飲み干すと素っ気なく答える桔梗。そのまま宴会場を後にした。

大広間には、見慣れた顔がすぐ見つかった。野菊と石楠花だ。今朝の大広間には掃除に向かう女中が集まっていた。椿の組以外もいる様で見慣れない顔もちらほらしている

「桔梗、お疲れ様!…というか…また、今から疲れるんだけど」野菊は笑顔で桔梗にバケツと雑巾を手渡す。

「野菊?今日はいきなりどうしたの?掃除にこんな人数集められた事、今まで無いけど…」桔梗は手渡された掃除用具を両手に持ち不思議に思った。大体二人一組でランダムに割り振られるのだが、こんなに大人数を集められるのは今まで無かった

「大掃除だよ大掃除!…っつっても、大体掃除なんか毎日やってるし、今日は人数が居ないと時間がかかる談話室とか、運動場とか掃除するんだってよ」石楠花は身体と同じ位長いハタキを片手に面倒くさそうに両手を上げる

「高い所…私、変わろうか?」ハタキを肩を並べる石楠花を見れば桔梗は少し意地悪を言う

「あっ、桔梗ひでぇ!あたいのコンプレックスを!ワザと言っただろ!」石楠花のハタキが桔梗の顔に猛攻撃を開始する。

「痛い!痛い!っていうか煙たい!んふふっ、ごめん石楠花!ごめんなさい!」石楠花のハタキ攻撃を食らいながら客取りの緊張から解放され、普段通りの戯れ合いに桔梗は心の底から笑えた
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