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花籠屋敷
第6章 幕引き
運動場に向かう桔梗。天気は良く晴れて庭球には丁度いい日和だ。
場内を見てみると、準備万端な藤丸達が居た。
「お〜い、時間無いから早くやろうぜ桔梗ちゃん!」
藤丸は運動着で能天気にラケットを振ってこちらを誘う。お昼の友情にヒビが入る程の大騒動の火元
しかし本人に悪気があっての事でも無いため溜息を吐くぐらいしかできない。
そもそも、いつかは話さなくてはならない事だ。
心の準備が出来る前に事が起きてしまっただけの事。
桔梗は首を横に振ると着替えに向かう。更衣室には先に椿が着替えて居た。
白いシャツを被ると此方に気付く
「遅かったわね。」
ラケットを持つと、スッと更衣室の出口へ向かっていく。すれ違うと急に振り返り少し迷ったように間を置くが、椿は口を開く。
「此処に入る事になった男娼は、あなただけじゃ無いわ…」
桔梗は発言に二重に驚く。
一つは自分の正体がバレている事
もう一つは、男娼がまだ別に存在している事。
「牡丹って言うの…私の弟」
それだけ言うと椿はコートへ消えていく。
桔梗は呆気に取られた。意外な所に自分と同じ境遇の人間がいる。桔梗は話してみたいと思った。この屋敷の中で何を思って生きているんだろう?
着替えるとコートへと向かった。藤丸達三人がコート内で準備している。
「よしっ、揃ったな」
コートに入ると藤丸が桔梗の隣に並ぶ。ネットを挟んで笠松と椿の二人と向かい合う。
「じゃあ、お互い」
藤丸が勿体ぶりながら片手を伸ばす。
「正々堂々と」
笠松が呆れ顔で握手をした。
静かなコート内…先攻笠松組みから庭球がスタートした。




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