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【SS】吼える月
第1章 【5000拍手記念】運命~サクの両親~
 


 ◇◇◇



「……やっ、ああ……っ」



 首から滑り落ちる唇。襟ぐりが広げられ、晒(さらし)を引きちぎられれば、女の象徴である豊かな胸が揺れて現れる。


 サラの両手は、彼女の頭上の木の幹に縫い止められ、花の蜜に戯れる蜂のように、ハンは雄々しくサラの白い胸に貪りつく。


 ハンの逞しい片腕はサラの背中を優しく撫で、唇で彼女が女であることを思い出させるように、優しく官能的に愛撫していく。


 上気するサラの肌が艶めかしくて、可愛く啼くサラをハンは瞳を揺らしながら見ていた。


――試合は無効だ。私と戦え!


――そこまで戦いたいか。ならば俺が勝ったらお前を抱くぞ。


――……ならば私が勝ったら、お前をはいつくばらせてやる!


 武闘大会でのあの試合をやり直したが、瞬殺で負けた。さらに彼は勝ち進み、ジウを倒して二度目の優勝を飾ったのだ。



――お前を抱くぞ。



 緋陵の森。

 そこでサラは覚悟を決めた。逃げ回っても、ハンに勝つことができない現実を思い知ったのだ。否、対峙した瞬間で、ハンに敵わぬことはわかっていたはずなのに、それを認めようとしなかっただけだ。




――お前を抱くぞ。




 忌まわしく膨らんだ胸の頂きに、ねっとりとしたハンの舌が絡みつく。そこから広がる甘美な痺れに、サラはどうにか声を抑えた。



「よく見てろ。お前は女だ」


 舌で捏ねられる乳首。見ているだけで、びくびくとサラは感じてしまった。



 二年前の十五の時、男の経験はあった。

 それが緋陵の割礼式なのだ。


 その時感じなかった気持ちよさといやらしさを、ハンは見せつけるようにして、なぶるように彼女の身体を愛でるのだ。


 ハンの唇は巧妙で、女性経験が豊富であることを如実に物語る。

 それに自分が陥落しそうになる屈辱に耐えながら、早く事が終われと願うのだが、ハンは簡単には終わらせようとしない。

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