この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
×アリエナイカノジョ×
第7章 トマドイの一コマ
「…アンタ……諦めたの?」
今度は紗英にだけ聞こえるように声を落とした。
「何を?」
今まで担任の教師でもある父親を見掛ければ、ウットリとした表情を見せていた。
それがアレから無くなっていた。
他の生徒と同じ様に、一教師として見ているようだった。
「…分かんない」
初めて紗英の表情が曇った。
アタシは紗英じゃ無いから、紗英の心境なんて分からない。
分からないけど、相談には乗りたかった。
無言で食べ終わった弁当箱を片付けている紗英を見ていると、これ以上は突っ込めなかった。
「…なんか…ごめん………」
思ってもいない言葉が口を吐いた。
きょとんとした表情を見せる紗英に、何だか申し訳なさがいっぱいだった。
いつの間にか食べ終わっていた弁当箱を片付ける。
「…ちょっと…行ってくるね」
教室を出て行く紗英の後ろ姿を見られなかった。
―――――――――
―――――
――