この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
×アリエナイカノジョ×
第7章 トマドイの一コマ
静かな場所を求めていたら、いつもの空き教室に着いていた。
いつもの窓際の場所に立ち、いつも眺めていた光景を眺める。
グラウンドに人影は無かった。
隣にあの娘の姿も無い。
担任の姿を見付けて、ウットリとした表情を見せていた紗英は居ない。
「はぁ………」
何度目か分からない溜息。
深く考えすぎなのかもしれない。
だけど、考えずにはいられなかった。
窓を開ければ、涼しい風が舞い込んできた。
「ふぅ………ん?」
不意に視線を下へと向けた。
両手をズボンのポケットに突っ込んで気怠そうに歩く、ツンツン頭の長身の生徒の姿。
ドキッと胸が高鳴る。
遠目に見ても分かる。
「アタシ…重症かも………」
直ぐに正行だと分かると鼓動が速くなる。
駄目だと分かっているのに、照れ臭くて暴力的になる。
アタシが好意を抱いているなんて、アイツは分かってない気がする。
「あっ………」