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×アリエナイカノジョ×
第8章 ◆ Opening
紗英が家を出て二十数分。
徐々に制服を着た生徒たちの姿が多くなってくる。
創設半世紀以上を越えた学校。
日頃紗英達が利用する新校舎に加え、解体を待つだけの旧校舎に体育館とプールが有る一般的な学校。
学力に特化している訳でも無くスポーツを推奨している訳でも無く、偏差値も水準より僅かに低め。
至って、ごく普通の学校の正門を通り抜けた二人は、相変わらず周囲から視線を向けられながら昇降口へと向かった。
「でも、また一緒のクラスで良かったぁっ」
「アタシはびみょーなトコなんだけどねぇ」
キラキラとした笑顔の紗英に対して、曇りがちの笑みを浮かべる美穂。
「どーゆー事ぉ? 忘れ物だけじゃなくて色んなオモチャ………」
「そーゆートコよっ」
二言目には下ネタに入ろうとする紗英の言葉を遮る。
別のクラスならまだしも、一日中同じクラスともなれば気苦労が増すのは目に見えて分かっていた。
「…はぁ………」
深い溜息を洩らして、美穂は紗英の後を追ったのだった。