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×アリエナイカノジョ×
第8章 ◆ Opening
 
 進級して一つ階が下になった教室へと入る二人。

「おっはよー」

 紗英の明るいアニメ声が響けば、雑談に興じていたクラスメートから挨拶が返される。

 あまり顔ぶれも変わらず、初見はチラホラとあるだけだった。

「また同じクラスで良かったよ」

「あの二人と同じなんて…これからツイてるな」

「これは是非とも今後は………」

 口々に感想を洩らすクラスメートに、美穂は思わず頬を引き攣らせた。

「相変わらず一緒とは仲良いねぇ」

 前後に並んだ自席に着けば隣から声が掛かる。

「お、おはよ」

「おっはよー」

 短髪が逆立ったツンツン頭で高身長の男子に、美穂は言葉を詰まらせ紗英は明るく挨拶をする。

 爽やかな雰囲気を醸し出しているのは、新たに同じクラスになった美穂の幼馴染みである土佐正行だった。

「相変わらずイケメンだねぇ」

「葉山さんこそ、相変わらずぷりちーだねぇ」

 初日から続く毎朝交わされる他愛も無い二人の遣り取り。

 紗英の後ろの席に着いた美穂は、敢えて視線を向ける事は無かった。

「あの…おは…おはよう………」
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