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×アリエナイカノジョ×
第8章 ◆ Opening
視線を逸らす美穂に、言葉が詰まった挨拶がされる。
「あ、おはよ。え、えぇと………」
隣の席、正行の後ろの席に座る男子に視線を向ける。
正行と同様に、新たに同じクラスとなった男子。
黒髪の坊ちゃん刈りに黒縁メガネを掛けた、痩せた体型。
正行と違い、あまり印象に残らない雰囲気。
「う、薄井。…薄井……影人【カゲト】だよ」
影人も慣れているのか、言葉を詰まらせた美穂に対して直ぐに名乗るのだった。
「あは…あははっ……。ご、ゴメンねぇ……」
何故か名前を覚えられない気不味さに、乾いた笑みを溢す美穂。
「ほほぉ。これはこれは………」
耳に飛び込んだアニメ声に視線を前に向ければ、ニヤニヤと笑みを浮かべる紗英の顔。
椅子に座ったままで腰を捩り、美穂の机に頬杖を着いて薄い笑みを浮かべていた。
「な、何よ?」
無理な姿勢で居る紗英の胸元には、拉げて一段と深くなっている柔肉の深い谷間が覗いていた。
「っ!?」