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×アリエナイカノジョ×
第10章 ◆ Scene02
「じゃ、じゃあさぁ…」
「いや、それは……」
「んもぉ……ちょっとくらい………」
ギリッと音が聞こえそうな程に歯を食いしばる。
電柱が有ればその影に、曲がり角に差し掛かれば頭だけを覗かせて二人の姿を視界に捉える。
まるでストーカーのような動きを見せている美穂。
「ままぁ、あのお姉ちゃん………」
「しっ。いいから、行くわよっ。後でおまわりさんの所に寄りましょうね」
通り掛かった親子の目にも美穂の姿は怪しいと映っていた。
「あっ。いや、アタシは…別にそのっ………」
その言葉を耳にした美穂は、慌てて電柱の影から飛び出すしか無かった。
「…なに…やってんの?」
「げっ………」
数メートル離れていたとは言え、騒いでいれば気付かれるものだった。
美穂が顔を上げれば、左腕を女に絡み付かされた儘、怪訝そうに見下ろす正行の姿。
「あ、いや、その……あはは」